
肋骨骨折は、転倒や事故などで肋骨に強い力が加わった際に発生することが多い怪我です。
日常生活に大きな支障をきたす場合もあり、正しい診断と適切な治療が必要です。
ここでは、肋骨骨折の症状から診断、治療の流れ、さらに治療中の注意点やリハビリまでを詳しく解説します。
肋骨骨折とは?
肋骨は胸郭を形成し、肺や心臓などの重要な臓器を保護する役割を持っています。
肋骨骨折はこの骨が折れてしまうことを指し、多くの場合、肋骨自体は手術を必要としない「保存療法」が基本となります。
軽度の骨折なら、自然治癒が期待できるため、適切な痛みの管理が治療の中心になります。
肋骨骨折の主な原因
肋骨骨折の原因はさまざまですが、代表的なものには次のようなケースがあります。
• 転倒や事故による衝撃
• スポーツ中の接触や衝突
• 咳やくしゃみによる過度な負荷(高齢者に多い)
肋骨が硬くなっている高齢者や骨粗しょう症の方では、わずかな衝撃でも骨折のリスクが高まるため、特に注意が必要です。
1ヶ月以上咳が出るような風邪症状が続くと骨折が起きてしまうことも多いです。
肋骨骨折の症状
肋骨骨折の主な症状には次のようなものがあります。
• 激しい痛み:骨折部位の痛みが強く、特に深呼吸や咳をすると悪化します。
• 呼吸困難:痛みのために呼吸が浅くなり、息苦しさを感じることも。
• 腫れや皮下出血:骨折部位に腫れやあざが生じることがあります。
肋骨骨折は臓器の損傷と併発することもあり、呼吸困難がある場合は早めの診察が必要です。
診断方法
肋骨骨折が疑われる場合、医療機関での診断が欠かせません。主な診断方法には以下が含まれます。
• 問診・触診:痛みの強さや部位の確認。
• 画像検査:一般的にはエックス線撮影(レントゲン)が行われますが、骨折が小さすぎて写らない場合もあるため、必要に応じてCT検査を実施します。
CT検査により、レントゲンで確認できないような小さな骨折やわずかなヒビも診断することができます。
臓器や血管の損傷も確認できるため、特に重症の場合には役立ちます。
治療方法
肋骨骨折の治療は、通常、保存療法が中心です。
症状に応じた痛みの管理や生活指導が行われます。
• 痛み止めの処方:骨折部位の痛みが強い場合、鎮痛剤を使用して痛みを和らげます。
• 胸部固定:呼吸による胸郭の動きを抑えることで、痛みが出る動きを抑えることができます。
治療中の注意点
肋骨骨折の治療中にはいくつかの注意点があります。
• 無理をしない:骨折部位に負荷をかけないよう、急な動きや過度な運動は避けましょう。
• 患側を下にして寝ない:骨折部が下側にして寝ると、思わぬ寝返りの動作で骨がずれてしまうことがあるのでやめましょう。
• 禁煙:喫煙は治癒を遅らせるため、禁煙が推奨されます。
リハビリと予後
肋骨骨折の治癒には、通常4~6週間程度を要しますが、症状や年齢により異なる場合があります。
完治後も無理せず、次のようなリハビリを取り入れると良いでしょう。
概ね、受傷から2週間程度で痛みが半減し、4週間以降で痛みがなくなるような経過の方が多いです。
• 軽い運動:完治後に徐々にストレッチや軽いウォーキングを行うことで、筋力と柔軟性を回復します。
• 姿勢の改善:肋骨骨折後は姿勢が崩れやすいため、正しい姿勢を意識することも大切です。
まとめ
肋骨骨折は、特に高齢者にとっては治癒が遅くなる可能性があるため、しっかりとした治療と経過観察が必要です。
痛みが強くなる場合や息苦しさを感じたら、迷わず医療機関で診察を受けましょう。
また、治療中は無理をせず、日常生活の中で適切なリハビリとセルフケアを心がけることが重要です。